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出荷400万台突破!! 開発者が語る「ScanSnapが支持される理由」


開発者が語る「ScanSnapが支持される理由」

オフィスのペーパーレス化やデジタルデバイスの普及により、幅広いシーンで使われるようになったドキュメントスキャナ。
なかでもBCN 6年連続No.1を獲得しているPFUの「ScanSnap」シリーズは、多くのユーザから支持される、ドキュメントスキャナのトップブランドだ。そんなScanSnapがユーザーに支持される理由は何だろうか。
同社執行役員イメージビジネス担当の宮内康範氏と、商品企画部長の大窪伸幸氏に、その秘密を聞いた。

歴代ScanSnap


「できるだけ簡単に」=ScanSnapというブランド名へ

PFU執行役員イメージビジネス担当 宮内康範氏出荷台数が全世界で400万台を突破した「ScanSnap」。
2001年に登場したこの製品は、身近にあるさまざまな書類を手軽にデータ化できる個人向けのドキュメントスキャナとして、誕生から15年が経過した現在、日本のみならず世界においても定番のモデルとなっている。この「ScanSnap」の出発点となったのは、当時同社が開発していた業務用ドキュメントスキャナだった。

「それまでは業務用のドキュメントスキャナを開発していたのですが、これだけ便利な製品が世の中にあるのだから、オフィスで発生する会議資料や、家庭で身の回りにある書類など、もっといろいろなものを電子化して活用してほしい。そのような想いから、身近に置いて使ってもらえるスキャナとして、ScanSnapの開発を始めました。当時はインターネットも普及しつつあり、紙をデータ化して使うことが現実的になり始めていたのも、後押しになりました」(宮内氏)

そんなScanSnapシリーズのこだわりの1つが、ボタンを押すだけの簡単操作だ。これは業務用ドキュメントスキャナとの大きな違いであり、ScanSnapの最大の特徴とも言える。
「業務用スキャナは、プロが業務の一環として紙を電子化するための装置ですので、スキャナの特性をよく知っている人が使いやすいと感じる操作性を重視しています。しかしスキャナに詳しくない一般の人が使うには、難しい設定ができることはむしろじゃまになります。何も考えなくても、サイズや種類の違うさまざまな用紙をカンタンに電子化することを実現するために、たどり着いたのがボタン1つワンプッシュ操作でした。」 (宮内氏)

もっとも、このコンセプトが当初から存在したかというと、そうではないのだという。実はScanSnapの前には、鳴かず飛ばずだった幻の "先代モデル" がある。


「最初はPragma(プラグマ)という製品を出したのですが、これがまったくの不評だったのです(笑)」(宮内氏)
そこで開発チームが行ったのは、製品の使い勝手に関する徹底的な調査だった。社内に同製品を配布して使ってもらい、どこがマイナスなのか、利用者目線での意見を募った。その結果浮かび上がったのは、多機能すぎて使いにくい、もっと簡単なものがほしいという、まさに現在のScanSnapにつながる方向性だった。

「ヒアリングの結果、我々が良かれと思って多めに搭載したボタンや、あれもこれもできる多機能なドライバといったPragmaの特徴が、まったく受け入れられていないことが分かりました。社員に言わせると、そんな分かりにくい操作方法を覚えてまで、紙を電子化する必要がないと。そこで簡単シンプルで、何も考えずにワンプッシュで操作が完結するというコンセプトに生まれ変わり、ブランド名も新しく "ScanSnap" に改めました」(宮内氏)

"簡単シンプル" というコンセプトは、ワンプッシュ操作だけにとどまらない。もう1つ、歴代モデルの変遷で顕著なのが、原稿台と排紙トレイが折りたたみ式になったことだ。 「ドキュメントスキャナは、業務ワークフローの1つとして定められていない場合、プリンタほど高い頻度で使われるものではなく、せいぜい一日のうちに一回か二回使われる程度です。原稿台が固定されていると場所を取るばかりか、オフィスのデザインにもマッチしません。そのため、使わない時はなるべくコンパクトになるよう、折りたたみ構造を採用することになりました 」(宮内氏)
現在のモデルではこれがさらに進化し、原稿台と本体電源が連動することにより、原稿台を開けるだけでが電源がオンになって使えるようになる。ボディサイズを大きくせずに折りたたみ方式を採用するにあたっては、内部のメカを小さくしなくてはならず、専用の光学レンズを新たに開発するなど、その苦労は並大抵のものではなかったそうだ。「業務用スキャナを作るよりも難しい作業でした」と、宮内氏は当時を振り返る。


ScanSnapならではのこだわりでラインアップもますます拡がる

PFU ドキュメントイメージビジネスユニット海外営業統括部商品企画部部長 大窪信幸氏さて、ドキュメントスキャナ「ScanSnap」シリーズには、現行機種の「iX500」に代表されるフラッグシップモデルのほか、半分ほどのサイズの「S1300i」、モバイルを想定したスティックタイプの「iX100」など、小型モデルもラインアップされている。これら小型モデルをフラッグシップモデルと使い分ける "2台持ち" のユーザーも少なくない。
「フラッグシップモデルは、50枚載せられてスピードも速いというコンセプトで、これは最初から揺らいでいないのですが、ScanSnapが普及したことで、それほど多くの枚数を電子化するのではなく、もっと手軽に利用してもらえる低価格のモデルが必要だろうということで生まれました」(宮内氏)

いまではすっかり定番となったこれら小型モデルだが、実はもう1つ開発の起点となった理由がある。それは、ScanSnapを外出先に持ち歩いて使うユーザーの存在だ。
「まだ据え置き型のモデルしかなかった当時、ScanSnapを出張時に持っていくという使い方をされている方が、少なからずいらっしゃることがアンケートの結果から分かりました。そのころはノートPCの出荷台数が伸び、デスクトップとシェアが逆転した時期ですが、ScanSnapの便利さに気づいた人が、製品を持ち出して使うようになったんですね。そうしたことから、外出先でもスキャナをさっと取り出して使うニーズに対応できるモデルとして、S300を企画しました」(大窪氏)

当時としては斬新だったUSBバスパワーによるACアダプタレスでの駆動は、こうした使い方における利便性を重視して生み出されたものだ。現在ではこの方向性は、S1100、そしてバッテリーを内蔵したiX100といったスティックタイプの製品へと受け継がれ、利用者のモバイルワークを強力にサポートしている。

さらに近年では、ドキュメントスキャナの枠を超えたオーバーヘッド型の「SV600」という新機軸のモデルもラインアップ。 「ScanSnap=ADF搭載」というそれまでの概念を覆してユーザーを驚かせたこのモデル、アイデア自体は実に5年以上も前にさかのぼるのだという。
「ScanSnapは、A4サイズの書類をまとめて読み取るためのADFを搭載しており、キャリアシートを使うことで最大A3サイズの原稿や、切り抜きなどのスキャンにも対応できますが、冊子のままの契約書や、切り抜いていない状態の新聞など、どうしてもADFでは読み取れない紙があります。かといってフラットベッドスキャナでは操作がわずらわしいため、それらをもっと簡単に読める機器を、という考えでスタートしたのがSV600です」(大窪氏)

本や冊子を上からのぞき込むようにしてスキャンできることが特徴のSV600だが、他のオーバーヘッド型スキャナに比べて圧倒的なアドバンテージとなるのが、画像品質の高さだ。
「SV600は(撮影素子に)広範囲にピントが合う高被写界レンズと安定した画像を出力するライン型CCDセンサーを用いているため、デジタルカメラで撮るよりも原稿をムラなくきれいに読み取ることができます。オーバーヘッドスキャナは世の中に多く存在しますが、要はデジタルカメラが先端についているだけで、画質にムラがありきれいではない。しかし我々は、開発期間こそ余分にかかったものの、ドキュメントスキャナの画質を出せるオーバーヘッドスキャナができたと自負しています」(宮内氏)
外見こそ従来のモデルとまったく異なるものの、ScanSnapならではのこだわりは、SV600にもしっかりと継承されているというわけだ。


新しいトレンドを取り込んで進化を続けるScanSnap

最新フラッグシップモデル「iX500」さらにScanSnapは、新しいトレンドの取り組みにも意欲的だ。ここ数年で大きな取り組みといえば、フラッグシップモデル「iX500」がWi-Fiでの接続に対応し、スマホやタブレットとの連携が可能になったことが挙げられる。
「iX500の一つ前のモデルであるS1500のころにiPadが発売になり、(EvernoteやDropboxをはじめとした)クラウドサービスの利用者も徐々に増え始めました。 当時はPCでスキャンしたのちiPadに転送する仕組みでしたが、それをもっと簡単にできないかということで、PCを使わずにスキャンできるiX500を開発することになりました」(大窪氏)

一見すると、単にインタフェースが有線から無線に置き換わっただけのように見えるが、実際にはそう単純な話ではない。 PCレスでスキャンするためには、これまでPCで行っていた画像処理をどこで行うのかという、根本的な問題を解消する必要がある。 同社が出した答えは、デュアルコアCPUを搭載した専用チップをスキャナに内蔵し、そこで一括して画像処理を行うというものだった。


iPadやスマホの普及により、PCレスでドキュメントスキャンをしたいというニーズが増加。これに対応するため、iX500から画像処理用のCPU(GIチップ)を内蔵した「いままで紙を電子化するにあたり、斜行を補正したり、白紙ページを削除するといった画像処理はすべてPC側で行っていましたが、スマホやタブレットで直接スキャンするとなるとそうはいきません。 そのためにGIチップという、スキャナの中で画像処理を行うための専用チップが必要だったというわけです」(宮内氏)
つまりS1500とiX500は、外見こそデザインが変わっただけのように見えるが、本体内に頭脳に相当するCPUを組み込むことによって、処理そのものの仕組みががらりと変化しているのだ。 当然、製品一台にかかるコストもまったく異なっているわけだが、にもかかわらず価格はほぼ据え置きのままでの提供というから驚くほかはない。

「清水の舞台から飛び降りるくらいの覚悟でした」と大窪氏は当時を述懐する。




ファンの声を製品にフィードバック、開発チームも一体に

iX500では、通常のピックローラーに加え、安定した紙送りを実現するブレーキローラーを搭載。業務向けモデルと同じ機構だこうしたユーザファーストの取り組みで圧倒的な支持を得ているScanSnapだが、ネットなどを通じてのユーザとの密なコミュニケーションも、同社製品のファンであればよく知るところだ。 こうしたファンとの友好性について、どのように考えているのかを聞いてみた。
「ScanSnapについては、まず我々自身もユーザーの一人であり、自分たちで『こうだ』と思いを込めて製品を開発しています。 それに対してここがいい、ここがカユいとユーザーの方に言ってもらえるのは大変ありがたいことで、新しい製品を開発するにあたっては、寄せられた要望をどうにかして解決したいという思いが根底にあります。 最近では、 "自炊" でよく使うグレーの出力をiX500で安定して出せるようにしたり、コンディションが悪い紙をきちんと給紙できるよう業務用スキャナで採用しているブレーキローラーを搭載したのがその例ですね」(大窪氏)

ちなみにここでいうユーザーの声とは、ネットなどでの意見要望も含まれるが、なかでも重要視しているのが、購入後のアンケート結果なのだという。
「購入後のアンケート結果を開発・サポート・営業の各チームで共有できる社内サイトを用意し、気になった時にすぐにチェックできる仕組みを構築しています。 もちろん、要望のすべてに対応できるわけではありませんが、どれが本当に困っていることで、どれが解決してあげられることなのかを分類して、少しでも多くの重要なものにお答えできるようにと、開発チームと一体になって考えています」(大窪氏)
もう1つ、アンバサダー制度も、ユーザの意見をフィードバックする仕組みとして有効に機能している。
「アンバサダーの方には、我々に対しても新鮮な視点で意見をいただいたり、一方でユーザーに対しても発信して頂いたりと非常に感謝しています」(大窪氏)



電子化したデータをいかに活用するか。その基本を忘れない

ScanSnap Cloudの活用イメージ名実ともにドキュメントスキャナのトップブランドとなったScanSnap。 多くのユーザーに支持されている現在について、宮内氏は「最初のモデルからすると夢のような状況」と語るが、それでは将来に向けてはどのような展開を考えているのだろうか。 宮内氏、大窪氏それぞれに、今後のScanSnapの展望を語ってもらった。

「ScanSnapが多くの方に使っていただけるようになり、感謝の気持ちでいっぱいですが、一方でさらに多くの方に使っていただくためにはどうすればいいのかも、常に考えています。 トレンドに合わせてクラウドやWi-Fiといったテクノロジを取り入れるのも大事ですが、いかに簡単に電子化し、それをいかに活用していただくかという基本を忘れず、そのための改良を続けていきたいと思っています」(宮内氏)

大窪氏も、データの活用を容易にできてこそScanSnapという方向性に同意する。
「昨年始めたScanSnap Cloudによって、レシートをスキャンするだけで家計簿ができたり、名刺をスキャンするだけで人脈が見えたりといったことが実現できるようになりましたが、 こうしてスキャンをきっかけに手間なく活用できることにScanSnapの意味があると思いますので、そこをとことん追求していくのがまず骨子かなと。お客さまの声や、自分たちが使い込んだ感覚を生かしながら、より多くの方に喜んで使っていただけるようにしていきたいですね」(大窪氏)


iPadやスマホの普及により、PCレスでドキュメントスキャンをしたいというニーズが増加。これに対応するため、iX500から画像処理用のCPU(GIチップ)を内蔵したこれに加えて大窪氏が強調するのは、既存ユーザーに対するサポートの重要性だ。
「これまで使ってくれたファンの方の存在を大切にするという方針のもと、新しい機能を追加した際に、それまで使っていたお客さままでさかのぼってのバージョンアップは、可能な限り行うようにしています。 検証の手間がかかるのでなかなか大変なのは事実ですが、それも含めて期待して頂いていると認識していますので、そこは意識して続けていきたいですね」(大窪氏)

製品が成熟すると競合製品とのスペック争い(速度比較)に陥りがちだが、「電子化したデータをいかに活用するか」という基本に忠実に、 既存ユーザーのフォローも欠かさないというScanSnapの戦略は、製品を実際に使っているユーザーにとっては頼もしさを感じさせる。最先端の技術を搭載し、 たゆまぬ進化を続けながら、それでいて開発当初のコンセプトをきちんと継承し、ワンプッシュ操作で使いやすいのがユーザーに愛される理由だ。ドキュメントスキャナの代名詞とも言えるScanSnapの快進撃は、 これからもまだまだ続きそうだ。


コラム:「思い出に残るモデル」は?

今回の取材にあたっては、過去に発売されたScanSnapのほとんどの機種がズラリ勢ぞろい。その中から、特に思い出に残っているモデルについて、お二人に伺ってみた。 かつてハードウェアの設計を担当していた宮内氏が挙げるのは「S1500」だ。ScanSnapが一気に台数を伸ばしたモデルでもある。

「S1500の時に、筐体をドラスティックに作り変えたのが印象に残っています。筐体のデザインをデザイナーとディスカッションしながら作りました。 また、原稿台(蓋)がゆっくり閉まるなどのユーザービリティを重視したことや筐体を小さくするため、特殊なレンズを開発し、コンパクトなボディを実現しました。 それと同時に画像品質を維持するために大窪と協力してソフトウェアの補正で対処するなど、開発には苦労しました」

一方の大窪氏は、「ソフトウェア担当だったので一つのモデルに絞りにくいのですが」と断った上で、本記事でも登場したScanSnapの初代モデルと現行製品の「iX500」の2台を、思い出に残る製品として挙げる。
「私が入社したのがちょうどPragmaからScanSnapへと移行する最中で、ワンプッシュ操作を実現させるため白紙削除をはじめ、カラーや向きの自動判別のテクノロジーであるScanSnap独自ドライバ(ScanSnap Manager)の開発に携わっていたので、初代モデルは原点ですね。 また、その当時から温め続けていたアイデアの集大成となったiX500も思い入れがある1台です」


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