L字型に作業スペースを配置した野田さんの自室。一見窮屈そうに見えるが、収まりが良く作業しやすいとのこと。
テレビ番組など映像コンテンツの演出やディレクターを担当している野田さん。 自室には大量の書籍や資料があり、それを管理するのにScanSnapを活用している。
「こんなことなら、もっと早く買い替えておけば良かった」と「ScanSnap iX1500※」について話す野田真外さん。野田さんは、テレビ番組など映像作品の演出やディレクターを行うほか、映画監督の押井守氏に関する著書を執筆したり、イベントを運営するなどマルチに活動をしているクリエイターだ。
※現在ScanSnap iX1500は販売終了しており、現行の後継機種はScanSnap iX1600です。
iX1500に買い替えたのは取材の数ヶ月前で、それまでは2011年頃に購入した旧モデルのScanSnapを10年近く使用していた。
旧モデルでも機能自体には不満はなかったそうだが、紙送りの劣化により、スキャン時に紙詰まりが発生していたとのこと。「買い替えに迷った2年くらいを損しました(笑)。こんなにスムーズに、しかも速く読み込めるようになっているとは」と、野田さんはScanSnapの性能がアップしストレスなくスキャンできることに満足している様子だ。
野田さんのScanSnapの使い道は、書類管理や名刺管理とのこと。自宅内の自室が仕事部屋となっており、L字型に配置した作業デスクに、映像編集などに使うiMacやディスプレーを設置。さながらコックピットのようなレイアウトで「これが意外と収まりが良くて気に入っています」とのこと。iX1500は作業デスクの脇に手の届きやすい位置にセットしている。
左:保育園のお知らせなど、家族で共有するものはEvernoteに保存。iX1500に買い替えてから、紙詰まりが減りスムーズに取り込める。 右:ScanSnapで取り込んだデータはMacに保存していても、検索フォームからテキストを入力すれば手軽に探し出せるので、必要なときにスムーズに閲覧できるため便利だ。
紙資料として取り込むのは、仕事に使う資料のほか、役所や保育園からのお知らせなど多岐にわたる。保存先はパソコンとなっているが、外出先からもチェックしたり、家族と共有する可能性があるものは『Evernote』を使用している。
Evernoteは取り込んだデータを自動でOCRにかけてくれるので、あとからテキストで検索もできるので便利だ。
左:名刺の管理は、仕事のプロジェクトなどイベントごとに、まとめてひとつのPDFファイルにして、Evernoteに保存している。 右:野田さんが使用しているiX1500のタッチパネル。プロファイルは特に作成せず、連携しているパソコンに保存。必要な書類だけEvernoteと同期しているフォルダーに移している。
名刺の管理もiX1500で読み込んでいるが、名刺管理用のサービスは特に利用しておらず、紙書類と同じくEvernoteに保存している。ただしスキャンするときに「仕事のプロジェクトごととか、ある飲み会で会った人とか、イベントごとにまとめてスキャンして、ひとつのPDFファイルにしています」とのこと。
Evernote に保存した名刺。日付やイベントの内容に関連した文字をファイル名に付けているので、ファイル名だけでも名刺を探しやすい。
名刺は1枚だけだと、いつどういったイベントで知り合ったかというのを意外と忘れてしまいがちだが、野田さんのようにイベントごとに管理しておけば、検索しやすいだけでなく、思い出しやすい。名刺管理の方法としてはなかなか良いアイディアだ。
ScanSnapを使い始めたきっかけを野田さんは「東日本大震災のあと仕事もストップしてしまい、時間ができたため、自宅内にある書籍やマンガ、紙資料を整理し始めた」と話す。当時は紙の書籍やマンガ、雑誌をScanSnapなどでデータ化して電子書籍を自前で作成する『自炊ブーム』があった。そこで野田さんも裁断機も購入して、製本された書籍やマンガをどんどん電子書籍化していったとのこと。
使用しているパソコンはiMacで、マルチディスプレーで運用している。テレビ番組の編集なども特別な編集室ではなく、自室で行うケースが多いとのこと。最近はコロナ禍でオンラインミーティングする頻度も高くなっているそうだ。
マンガをスキャンする際は、見やすいように明るさや解像度などを細かく設定していた。ただその設定がiX1500を導入した際に引き継げず、野田さんは「再設定したのがちょっと手間だったかな」と話している。
それでも仕事部屋には大量の書籍やマンガが本棚には並んでいるが「これでもだいぶ少なくなった」と、蔵書を電子書籍化する前はどれくらいの本で埋め尽くされていたのかと驚いてしまう。
ちなみに本を裁断してスキャンすることには最初は抵抗があったそうだが、野田さんは「これは儀式だ」と思って作業を進めていったとのこと。
さらに映像関係の仕事も、昔は紙資料が多く、大量に残っていたので、それもScanSnapでデジタル化している。取材時に現在でも残っている資料を見せてもらったが、プロジェクトごとにファイリングされてはいるものの、ここから特定の資料を探し出すのはかなり難しい。
「こういった資料が段ボール箱で何箱もありましたが、ほとんどデータ化しました」とのこと。書籍や紙の資料をデータ化するのは、パソコンなどから検索しやすくできるだけでなく、物理的なスペースも節約できるのがScanSnapを導入するポイントと言える。
左:野田さん製作の都市河川をテーマにした作品レーベル静脈列島。都市の河川を中心に、川から現代社会を映し出している。 右:野田さんの自室にある書庫スペース。前後2段で本を置いている棚もあるくらい大量だが、これでもかなりの量をScanSnapで電子書籍化して減らした結果とのこと。
iX1500をかなり気に入って使っている野田さんだが、改良してほしい性能や機能について伺うと「まさか新モデル(iX1600)が買ってすぐに出るとは思わなかった」と冗談を交えつつ「もっとサイズの大きい紙をスキャンできるようにしてほしい。大判の雑誌だと裁断してもシートフィーダーにセットできない」と指摘する。取材で見せていただいた仕事の資料でも、地方の折りたたみ式パンフレットなど大判の紙もあり、確かにiX1500ではスキャンできないサイズ。
ScanSnap本体の物理的なサイズもあるので難しいが、大判をスキャンするニーズは確かにありそう。まだまだデジタル化したいものが、野田さんの仕事部屋にはたくさんありそうだ。
■取材協力
野田真外(のだ・まこと)さん 演出家。 高校時代から押井作品に傾倒し、演出家の道を志す。大学卒業後、CM制作プロダクション等を経て、フリーの演出家に。主な映像作品に『東京静脈』など都市河川を主題としたシリーズがある。押井監督に関する著作も多数リリースしている。 右:野田さんの新著「押井守監督が語る映画で学ぶ現代史」(日経BP/ 税込1,980 円)。「宇宙大戦争」や「仁義なき戦い」など映像作品を押井節で解説。
記事制作:flick!編集部
本記事は『flick! digital(フリック!デジタル)特別編集 デジタル超整理術 リモートワーク編』に掲載されました。記事は2021年2月18日時点の内容です。
(注:デジタル整理スタイルに掲載するにあたり、一部加筆修正致しました)
ScanSnap iX1600
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